AB3C CASE STUDY ・ 04
京都府福知山市 ・ ユニフォーム卸小売(創業 30 年)
らしさを伝えるユニフォーム
チームワークアパレル
ユニフォームに潜む 3 つの価値「機能性」「審美性」「象徴性」。見過ごされてきた象徴性に着目し、物販からサービス価値の提供へ転換。ロゴカラー反映・持ち込み加工という独自サービスで競合ゼロの領域を切り開いた。
競争激化と Google エラーで
泣きっ面に蜂
(株)ユニワークは創業 30 年のユニフォーム卸・小売業で、学生服から飲食店ユニフォームまで幅広く販売している。2003 年にネットショップ「制服道場」を立ち上げ、初期段階では検索上位表示により売上が順調に成長し、2010 年には売上の半分がネット経由となった。
しかし競争が激化し、検索順位は 2 ページ目以降に下落。リスティング広告の導入で対応したが、広告費は売上の 15% を超えるまで増加し、通常月でも赤字になった。さらにモバイル対応が遅れていたため、Google のアルゴリズム変更で検索結果から断続的に消える事態に陥り、売上は平常時の半分程度まで落ち込んだ。
「象徴性」という価値の発見
問題の根本は差別化できていない点にある。思い切って広告をすべて停止した。売上は 30% 減ったが、利益は大きく増えて黒字になった。
その間にユニフォームが持つ価値を分析し、3 つの価値を発見した。「機能性」「審美性」「象徴性」だ。業種によって重視する価値のバランスが異なる。作業服は機能性に重きを置く一方、飲食店ユニフォームは審美性と象徴性を相対的に重視する。しかし従来のカタログ通販では、どちらもロゴを入れる程度で、個性を伝える象徴性に力を入れていなかった。
飲食店へのインタビューでは、「カタログを見ても、どれを選んでよいかわからない」「いずれを選んでも同じに見えて、他のお店と似たような印象にしかならない」という声が繰り返し寄せられた。ユニフォームによって象徴性を高め、ブランディングやチームビルディングに寄与することを自社の価値と定義。飲食店向け専門サイト「チームワークアパレル」を立ち上げた。
手間のかかるサービスが差別化を生む
象徴性を高める方法として、従来のロゴ反映に加えて、新たにロゴカラーの反映を考案した。ポケットや紐などユニフォームの一部を取り外して、ロゴカラーのパーツと差し替えるという加工だ。ロゴの反映は一般的だが、ロゴカラーの反映は他社ではなかなか対応できていなかった。
「色の反映に絞ればやれる筋が見えてきた」。加工はやり始めるときりがないが、ロゴカラーに絞ることで実現性と差別化を両立させた。
ユニフォームは求人に効く
象徴性の強化は思わぬ価値を生んだ。飲食店へのインタビューで繰り返し出てきたキーワードが「採用難」だった。求人広告にユニフォーム着用写真を使うと効果が高いとの情報からアンケート調査を実施。個性を感じられるユニフォームを着ているほうが応募したくなる、という結果が得られた。
「広告を 2 回出すよりも、個性の伝わるユニフォームを購入したうえで求人広告を 1 回出す方が費用対効果は良いかもしれない」。このメッセージが採用難に悩む飲食店の心をつかんだ。
発想転換 ── ユニフォームの個性強化から
個性的な衣料品のユニフォーム化へ
あるとき、「すでに保有している T シャツやポロシャツに象徴性の加工をしてほしい」という問い合わせが届いた。自社で購入していない商品の加工は従来断っていたが、改めて考えると、エプロンのインナーなどには機能性の要求が少なく、ユニフォームと一般衣料の垣根は実質なかった。
地元の直販ルートで持ち込み加工を受けることにしたところ、さっそくいくつもの依頼が舞い込んだ。
さらに思考を深めると、加工のベースはユニフォーム専用品に限定する必要もない。象徴性を伝えられる個性的な一般アパレルをベースに、ユニフォームとしての機能を補い、さらに象徴性を加える加工を施すというモデルが見えてきた。
カフェのユニフォームならデニムのつなぎをベースに、ボールペンやメモ用紙を入れるポケットを追加してロゴ刺繍を施す。高級レストランならレストランのロゴカラーと同じテーラードジャケットに、ラペルやポケットの縁にサブカラーのパイピング処理を施す。競合他社と比較して、ベースアイテムと加工という 2 段階の優位性が生まれた。
「物販」から「サービス価値の提供」へのイノベーション。その起点は、競合が見落としていた「象徴性」という価値の発見と、徹底的な顧客インタビューにあった。